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中国が目指す原発大国・ゴリ押しが問題?

   

原子炉の新設を進める中国
中国というとPM2.5のように有害物質を大気中に放出すると、日本でもしばしば話題になっています。これを中国政府でも問題視していて、クリーンエネルギーへの移行計画を進めています。その減量努力になっているのが原子力です。原子力の民間利用を認めることで、劇的に拡大すると見られています。

2014年時点で中国には、17基の原子炉があります。しかしこの原子力発電によって生み出される電力は全体の2%以下と言われています。しかし2020年までには今まであるもの以上の20基の原子炉を建設する予定だといいます。

そして2020年には非化石エネルギーの割合を15%までに引き上げる予定だといいます。その中でも原子力は原動力になる可能性は高く、58ギガワットにまで発電能力を高めるといわれています。

中国の原子力計画ですが、国内だけでなく海外にも目を向けています。2013年にはイギリス南西部のヒンクリー・ポイント原子力発電所の建設プロジェクトに出資しています。さらにパキスタン南部にあるカラチに原子炉2基を輸出する契約も交わしています。このように海外でも積極的に原子力ビジネスを進めていて、原発大国の道を進もうとしています。

リスキーな原発大国になる可能性も?

しかしこの中国の原発大国への道ですが、かなり無理をしているという指摘もあります。たとえば広東省にある台山市には中国とフランス電力の合弁による台山原発が建設されています。こちらではEPRと呼ばれる新型の原子炉を導入しているのですが、問題点が指摘されています。

アレバNPというところが圧力実験を行ったところ、建設中のEPRの屋根と底に脆弱性が見つかったといいます。ちなみにフランスとフィンランドではEPRによる原発建設計画が中断しています。しかし台山原発では建設を続行して、完成させてしまいました。

中国は共産党の一党独裁によって話が進められるシステムをとっています。このため、台山原発にうえで紹介したような危険性が指摘されても異議を唱えることができないようになっています。

しかし台山原発の130km先には、香港があります。もしこの原発で何かしらの問題が発生した場合、香港にも深刻な影響の出る可能性は十分あります。このため、香港では市民団体を中心として、反対運動を展開しています。

これを受けて中国の原子力発電建設会社では、「稼働までに数年間を費やして安全検査を実施する」として対応していることをアピールしました。しかしこれが実はいわくつきではないかという指摘も出ています。

香港の独立系メディアの報じたところによると、フランス人技師の証言として、「中国側が本来最低2年は必要な安全検査を1年未満に短縮すると計画している」ということが分かったのです。つまりただでさえ問題があるといわれている原子炉を、最後の砦である安全検査もずさんな状態で稼働させようとしているのです。

しかしこれは何も台山原発だけに限った話ではないのでは、という懸念も出てきています。中国では2016年現在合計で31基の原子力発電所が稼働しています。そしてわかっているだけでも23基が新設中の状態にあります。このいずれも同じような問題をはらんでいると考えると、砂上の楼閣になっているのではないかという懸念も決して徒労には終わらない可能性もあります。

もしも中国で原発の事故が発生して放射性物質が大気に放出された場合、日本における影響も深刻になる危険性があります。先に紹介したPM2.5が日本にやってくるのは、偏西風に乗るからです。

この偏西風は常に吹き続けているので、原発事故で放射性物質が放出されれば、偏西風の風に乗って日本に降り注いでくる可能性も十分考えられます。決して対岸の火事ではないのです。
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