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2030年 火力発電は消滅する危機 その興味深い理由とは?

   

電力というのは貯めることができないので、その時々の電力需要に合わせて、電力を発電しなくてはいけません。こうした電力供給の特殊事情の中、火力発電は今まで大活躍を続けてきました。

原子力発電は安全の問題がある上、すぐに止めたり動かしたりすることができません。太陽光発電は晴れのときだけ、風力発電は風が吹くときだけしか発電できない、気まぐれな電力なのです。さまざまな発電方法がある中、暑い夏にどの家もエアコンをフル回転させても、電気が足りなくならなかったのは、ひとえにせっせと火力発電が大活躍してきたからなのです。

しかし電力が自由化となり、電力供給システムに変化がある中、火力発電は徐々に姿を消していくことが予想されています。特に2030年にはLNG(天然ガス)と言われる最も発電効率の良い火力発電が消滅するとさえ言われています。なぜ火力発電不足が予想されているのでしょうか?

LNG火力発電

ガスを燃やして発電する方法です。燃焼効率がよく、たくさんの電力を生み出すことができます。需要に応じて発電できる適応力もあり、2時間後に電力が不足しそうだという予想が立つと、すぐにでも発電を開始して電力供給ができます。しかも世界中で多く見られる石炭を用いた火力発電と比べても発電量が多い上、CO2の排出量も限られています。非常に願ったり叶ったりの発電設備なのですが、なぜか消滅の危機にあるというのです。その理由を探るヒントは電力卸売市場の出現にあります。

電力卸売市場

電力自由化前は東京電力等の元国営の電力会社が発電、送電、販売をすべて行なっていました。しかし電力自由化となって、これらは切り離され、発電所が発電した電力の一部が電力卸売市場に流されることになりました。新電力会社はその電力を自由に購入して、顧客に売ることが可能になったのです。

ですが卸売りで売り出されている電力というのは一種類ではありません。スーパーで売られている野菜も、無農薬野菜や有機野菜は普通の野菜とは価格が違うように、原子力発電で作られた電力、太陽光で発電された電力、火力発電で発電された電力とは値段が違うのです。新電力会社はどの電力を購入したいと思いますか?安くて、そしてできればクリーンな方法で発電された電力を購入したいと思います。

価格で勝てないLNG電力

電力会社がどこで発電された電力を購入しようかとなったときに、一番考えるのは価格です。太陽光発電や水力発電等のクリーンエネルギーは発電コストも高いため、本来電力卸売市場で売り出される価格も高いはずなのですが、現在FIT制度と呼ばれる制度が機能しています。つまり大手電力会社が一定価格で買い取って手ごろな価格で卸売りに流れるようになるのです。

FIT制度による損失分は賦課金という形で、日本国民すべてが平等に負担することになっているので、卸売り市場にはクリーンなエネルギーが手ごろな価格で並べられることになります。結局クリーンなエネルギーでもなく、価格も特別安くはないLNG火力発電の電力は売れ残ります。火力発電は発電しても売れないと採算が合わないので縮小して行くこととなります。

2016年8月9日の日経新聞によると、2030年にはLNGの閉鎖が相次ぎ、1300万~2700万もの電力発電設備(原子力発電所13基分)が失われ、電力不足に陥ると予想されています。

難しい電力コントロール

日本国も手ごろで便利なLNG火力発電は今後も利用していきたい計画です。しかし同時にクリーンな電力を推進する必要もあり、FIT制度であちらを立てればこちらが立たないとなり、この状況を打破するためには、今後も経済産業省による難しい電力コントロールが求められるようです。

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