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LNGスポット取引は電力自由化とどう関係するのか

   

LNGは一般的には供給源と長期契約をしてガスを仕入れるのですが、そうではないスポット取引というのもあります。

そもそも、LNGとはなんでしょうか。これは液化天然ガスのことで、英語のLiquefied Natural Gasの略になります。このLNGはガスですから元は気体です。

メタンを主成分とした天然ガスなのですが、これを約-162℃の極低温に冷却すると液化され、体積が約600分の1にまで圧縮されます。

冷却後は液体になっているので大量輸送や貯蔵にも適した状態になります。

太古の動植物の死骸が地中で圧力と熱を受け、何百年と時間をいかけて変化した天然ガス。

これを液化すると無色透明の液体のLNGになり、LNG専用の運搬船で世界中に輸出されます。

天然ガスは石油や石炭など、ほかの化石燃料が燃焼する時よりも二酸化炭素の排出量が少ないというメリットがあります。
特にLNGは液化する際に不純物が取り除かれるので、燃焼させるときに硫黄酸化物などが出ません。LNGは液化状態から気化させなければならないのですが、特別なことをするわけではありません。

LNG気化器に流し込み外部に海水をかけるだけなので、水質汚染の問題もないです。

天然ガスのメリットはそれだけではありません。
ガスは重さが空気の約半分なので、空気中に放出されると上へと拡散されます。液化した状態でも空気に触れた瞬間に蒸発し、空気中の水蒸気が冷やされて霧状になるので目視確認もでき、より安全です。

 

本題のLNGスポット取引とは?

 
まずLNGスポット取引というのは、LNG運搬船単位でガス会社がLNGを買い取ることです。

例えば、供給源を複数確保する場合のポートフォリオ契約では数年間の長期契約などを結ぶのですが、スポット取引は反対に短期取引で、ほぼ現物取引といってもいい支払い期間になります。

普通にスーパーで買いものをして、レジでお金を払うのも一種のスポット取引ですから、単純でわかりやすいメリットがあります。

日本のガス会社がLNGを購入する場合は、供給源となる会社から長期契約かほんの一部ですがスポット取引で手に入れています。

元々欧米では、天然ガスは石油の価格と比較して優位性のある方、つまりエネルギー会社は安い方を選択して原材料としていました。

一方で日本はLNGを輸入に頼る必要があり原油輸入価格に連動して決まる方式でありました。主に長期契約であったこともあり、欧米とは違う方式で価格が決まっていたようです。

そのため、最も輸入量の多い日本の価格に合わせてアジア全体の市場で「アジアプレミアム」の価格が横行していたとされます。

そして、原油高騰が始まり、しかも東日本大震災で日本はLNGへの依存率が上がりました。このとき、発電の材料としてのLNG供給が間に合わず、急ぎで仕入れたスポット取引が増えました。

スポット価格はアジアプレミアムで日本は不利に立たされていると思いますが、実は現在はアジア向けLNGスポット価格と欧州向けもほぼ同じ価格になっているとされています。

今後もスポット取引は行われていく見通しです。というのは、ご存知のように日本の原発再稼働が不透明というよりもほぼ不可能に近いこともあり、火力発電などが主流になります。その際に注目されるLNGの需要が増える見込みです。

また、電力自由化でガス会社が新電力会社を立ち上げており、ガス会社のLNG需要も増える見込みです。
ですので、よりスポット取引で急ぎLNGを仕入れるところも少なくないはずです。

LNGは普通の商業契約と違い、多く買えば価格が安くなるというものではありません。当然長期契約とスポットでは違うかもしれませんが、重要なのはLNG購入の契約したタイミングになります。

今後原油価格が再度高騰すれば再びアジアプレミアムが発動されるでしょう。しかし、スポット取引でリスクを分散することができれば、(あくまでその取引が成功すればですが)LNG価格は安くなるはずです。

また、そうなれば新電力会社の価格設定も変動する可能性もあります。

LNGスポット取引が電力自由化と関係あるというのはこういうことなのです。

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