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なぜ? 電力初心者と電力玄人が電力会社を変えない3つの理由

   

電力自由化が始まったのに不思議なことに、いまだ以前と旧電力会社を利用し続けている人が98%にもおよびます。

電力事情にさほど詳しくない一般市民も以前の電力会社から電力を買っていますし、電力事情に詳しい企業もやはり新電力を利用していません。なぜみんな電力会社を変えないのか、その理由に迫ってみましょう。

一般市民が電力会社を変えない理由

安くない

一般市民が電力会社を替えない理由は単純にあまり安くないからです。電力というものはどの会社から買おうと製品品質は全く一緒です。

味も見た目も大きさも、全く同じリンゴを買うなら、安いリンゴを買いたいのと同じように、電気も安いところから買いたいのですが、新電力の電力もあまり安くありません。「安くないならいつもと同じスーパーで買おう」という心情が働くのと同じで、ほとんどの人はやはり既存の電力会社から電力を買おうとします。

新電力の料金プランが複雑

新電力会社は実際の電気料金を安く提供できないので、電話料金やガス料金とのセット割引などで、安くなるイメージを抱かせようとしています

よく用いられているのが「ポイント制度」なのですがが、電気料金が○KW以上利用すると何ポイント、契約アンペアが○A以上でと何ポイントなど、「料金体制」も「ポイント体制」も非常に複雑で分かりにくいのです。「サービス内容を見てみたけど、よくわからなかった」という理由で、料金体制がシンプルな今までの電力会社から購入しようという方が多いのでしょう。

面倒

別に新電力を買わなくても、平穏な生活は送れます。生活上の仕事を増やしたくない人は、別に新しい物好きでもない人は、「わざわざ新電力に乗り換えて手間を増やす必要はない」と考え、既存の電力会社を利用し続けています。

玄人が電力会社を変えない理由

よく調べても安くない

電力事情に詳しい人で、新電力が提供しているさまざまなプランの意味を理解する人でも、実際に電卓を叩いて年間の電気料金を計算してみた結果、大して安くならないことが分かっています。

もし一年中ずっと一定量以下の電気しか使わないなら、確かに電気料金が安くなりますが、夏の暑い日に30分でもクーラー全開にすると年間の料金は高くなってしまうことなどが分かります。結局現状を調べて計算した結果、既存の会社が安心料金プランだという結論に達し、電力会社を変えないことにした人は少なくありません。

新電力は経営基盤が不安定

新電力はいわば業界の初心者です。電力経営の経験が多くありません。どうにか顧客を集めて、利益をあげ続けることができる企業は多くありません。一例を挙げましょう。

日本ロジテックという会社は数年前に企業向けへの電力が自由化されてから、順調に顧客数を伸ばしてきました。なぜ顧客数が増えたのでしょうか。電力料金が少し安かったからです。そこで主に自治体や公官庁などは相次いで、電力を日本ロジテックから買うことを決断します。

そうすれば年間で何百万という単位の節約にあるからです。そうやって日本ロジテックは新電力の中で、なんと5位の電力販売数を誇る中堅企業へと成長しました。ですが多くの場所に安い電力を供給し続けるためには、安い電力を大量に仕入れることができないといけません。

しかし自社で発電設備を持たない日本ロジテックは電力調達、電力購入の資金調達、送電線使用料の支払いが困難となり、突如2016年3月に新電力事業から撤退しました。いままで日本ロジテックから電気を買っていた企業はどうなりましたか?

結局旧国営の電力会社から再び電気を買うことになり、「インバランス・ペナルティ」といって普通よりも高い電力料金を払うはめとなったのです。電力業界に詳しい人はこうした新電力の裏事情に通じてるため、長い目で見て必要以上の経費を支払うリスクを避けて、電力会社を変えない選択をしています。

企業との関係

最後にあげるのが企業間のつながりです。新電力を購入している企業のほとんどは関連会社が電力業界に参入したので、グループ企業の付き合いで新電力会社から購入しているに過ぎません。

そのほうがグループ企業として恩恵があるからです。ですが企業との関係において何のメリットもないのではわざわざ電力会社を替える必要がないのです。

これからの予測

もし既存の電力会社と競争できる会社があるとすれば、安価で安定した電力を自ら発電して供給できる会社です。ですが発電コストの安い原子力発電所の建設でもしない限り実現は不可能でしょう。つまり今後とも魅力的な新電力が出てくる見込みは少ないゆえに、これからも個人も企業も電力会社を変えないことが予想されます。

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