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知らなかった… 新電力が安くない理由 実は電力自由化のときに国が過激なセット割を禁止していた

   

「電力自由化になったのにいまいち電気代がどこも安くないよな」こんなふうに思っている人は多いのではないでしょうか?

なぜ電気料金を自由に決めれるようになったのに、どの会社も大して安くないのでしょうか?もちろん理由の1つは電力確保にコストがかかるからです。実はそれ以外に多くの人が知らない理由があるのです。その理由とは電力自由化が始まるにあたって、日本国が過激なセット割を禁じているためです。

今までの大企業の販売方法

自由化が行なわれると同時に、今まで大手企業は新規顧客を集めるために、常識を覆すようなサービスをしてきました。例えば会社が変わっても携帯電話番号が変わらないMNP (モバイル・ナンバー・ポータビリティ)が始まったときに、資金力のあるソフトバンクは「携帯電話費用実質0円」を打ち出しました。

携帯電話代本体分通信料金を赤字覚悟で負担することによって、新規顧客を獲得してきたのです。その結果それまで最大大手だった牙城は切り崩されました。同じように電力自由化となったときもソフトバンク等の大手企業は利益度外視のセット割を敢行することによって顧客確保を狙うことを予想していたかもしれません。しかしこのたびは国が禁止しているゆえに過激なセット割が出来ないのです。

具体的になにが禁止されているのか

経済産業省と公正取引委員会が2016年3月7日に発表した「適正な電気取引についての指針」の中に今回の禁止事項が含まれています。その中で原価を下回るような過激なセット割をしてはいけないと記されています。

例えば電力調達コストが1000円、携帯電話の通信コストに1000円掛かっているなら、セット割引後の価格が2000円以下になるようなセット販売をしてはいけないということになります。つまり以前ソフトバンクが行なっていた「携帯電話費用実質0円」というのは今では経済産業省と公正取引委員会の指針に反するゆえにできないということになるわけです。

なぜ過激なセット割が禁止されているのか?

消費者にとっては企業が赤字覚悟ででも安くしてくれたほうが得ですし、その分経済も活性化しそうなものなのに、なぜ今回は過激なセット割が禁止されているのでしょうか?それは今回の電力自由化でできるだけ多くの企業が参加することができるようにするためです。

もしも過激なセット割が許されると、既存の大手電力会社やソフトバンク、東京ガス等の企業体力がある会社だけが生き残ることになります。この機会に新たな産業が興る芽を潰してしまう結果となるでしょう。そこで、利益が上がらないような値下げはしてはいけないとなっているのです。つまり新規電力会社も利益を残した形で、他の会社と価格競争をすることができます。

過激なセット割り禁止の恩恵

今より極端に安い電力会社の出現は国の方針により期待できないので、消費者としては少しさびしいかもしれません。しかし今回の過激なセット割り禁止の指針により多くのプラス面が現れてきました。例えば新しい電力会社でも過激なセット割りさえしなければ、独自色の電力販売ができます。

自然エネルギーをメインとした電力販売を売りにできたり、電力生産者の顔が分かることを売りにできたり、地域の新電力を利用すれば地元のサッカーチームと触れ合えるサービスを売りにできたりと、価格以外の部分で大手電力会社ではできないようなサービスを展開できるようになったのです。必ず利益が上がることが確保されているので、新電力会社が新たに地元のガス会社と手を組んで、利益を分け合ったりすることもできるようになりました。

消費者としても、単に電力を買うだけでなく、面白い特典をいろいろと受けられるので楽しいでしょう。

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