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電力自由化=電気料金は下がる わけではない3つの要因

   

「電力小売が自由化になったら、価格競争が始まって各社値下げを始めるので、電気料金が安くなるはずだ」と考えている人も多いのではないでしょうか?

しかし専門家の分析によると「電力自由化=電気料金低下」というわけではないようです。むしろ電気料金は値上がりすると見られています。なぜ価格競争が自由化になるのに電気料金は安くならないのでしょうか?3つの要因があるようです。

一般電気事業者のかせが外れる

今まで一般電気事業者(旧国営の電力会社)は独占企業でしたから、電気料金を決めるのに経済産業省にお伺いを立てる必要がありました。「今は石油の値段もこれくらいになって1kwにつき○○円の生産コストがかかります。○○円に値上げしてもいいでしょうか」これに対し経済産業省は最適な値段配分となるように電気料金をいくらにしなさいと指導していたのです。

電力会社に少しの利益が生み出されるようにはしていましたが、ぼろもうけはできないような枷(かせ)があったのです。しかし電力自由化となりその枷がなくなりました。「独占企業ではなくなったので、どうぞ自由に電気料金を決めて価格競争してください」となったのです。

電気自由化の先進国であるヨーロッパ諸国の例を見ると、価格自由化後電気料金は値上げしています。電力供給能力の高い会社同士が話し合い価格を吊り上げて共に利益を確保したからです。結局は一般電気業者に頼らないと電力供給は追いつかないので、電気料金の価格設定は一般電気業者主導で行われることになります。

原子力発電が止まっている

原子力発電は災害が起きたときに大きな被害を与えるとして、営業停止に追い込まれていきました。しかし電気料金という観点から見ると原子力発電は電力生産コストが非常に安くつくために電気料金を抑えるという点では重要な役割を果たしていました。

現在電気料金は1kwにつき22円ほどですが、火力発電や水力発電は1kwあたり10円以上の生産コストがかかります。しかし原子力発電は1kwにつきわずか5円の生産コストしかかからないのです。この生産効率のよい原子力発電が使用できないという状況でもいままで経済産業省の指導で電気料金が抑えられていましたが、今後は電気料金上昇を招くこととなります。

太陽光発電が増えている

現在多くの小売電気業者が導入しているのはメガソーラーによる太陽光発電です。なぜ太陽光発電を導入しているかというと、自然に優しいからと言うのではありません。国の制度により太陽光発電で発電した電力は、とっても高い価格で買い取ってくれることになっているので確実な利益が確保できるからです。

当初1kwあたり42円という料金で買い取るということになっていました。現在は29円まで落ちる予定です。しかし現在消費者は現在1kwにつき22円しか払っていないのであれば、その差額は誰が負担するのでしょうか?それは今後電気を使っている全国民です。

太陽光発電の赤字分はすべての電気利用者に均等に振り分けて負担してもらおうということになっています。つまり今までは太陽光発電は多くなかったので国民負担分も多くなかったのですが、今後太陽光発電が増えれば増えるほど国民負担は上がり、電気料金は上昇することが考えられるのです。

先行きは明るくない

このように電力自由化=電気料金下がるではなく、むしろ上がることが予想されています。世界的に見ても電気料金は上がっていきました。日本においても電気料金が安くなる見通しは決して明るくないでしょう。

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