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日本より先に始まった米国の電力自由化とは?

   

2016年4月に始まった日本の電力市場の自由化ですが、日本以外ではすでに自由化されているところはたくさんあります。

例えば、米国では20年以上も前の1992年に始まっているほどです。
ただし、全米で一斉に自由化実施が行われているわけではないのですが。
米国では1992年にエネルギー政策法によって電力卸売市場の自由化が成立しました。

日本では2020年に実施目標を掲げている送電部門と発電部門の機能を分離する、いわゆる発送電分離だけでなく、送電線の開放も1996年に連邦エネルギー規制委員会(FERC)から義務づけられています。

ただ、自由化されたとはいえ、日本のように全国で一斉にというわけにはいかず、この電力自由化は州単位で行われている状態です。

最初に自由化したのはロードアイランド州で、1997年に部分的に自由化を実施しました。

その後、最大で米国50州のうち24州とワシントンDCにて自由化が実施されました。

中でも成功例として注目されるのは2002年に自由化したテキサス州です。テキサス州は米国で最も電力消費量が多いと言われており、150を超える新電力会社があり、全体の過半数の消費者(商業用、産業用、家庭用全体)が新電力会社に契約変更したともされます。

自由化後に一時的に燃料代が上がったために電気料金が高くなってしまったものの、テキサス州の自由化は成功だったと言えます。

このように米国の自由化の事例は細かい諸事情の違いを考慮しなければなりませんが、日本もしっかりと分析していくべきかと思います。

 

成功だけでなく、失敗した例もある

 
日本よりもずっと早くに電力自由化が実現した米国ですが、実は失敗例もあります。
最大で24州とワシントンDCが自由化に踏み切ったのですが、現在はワシントンDCのほかに15州しか全面自由化をしていません。
ほかの州では自由化のプロセスを中断したり、全面廃止にしたところもあります。

失敗例としてよく挙げられるのはカリフォルニア州の自由化の顛末です。

カリフォルニア州では1998年に電力小売の全面自由化が実施されましたが、2000年夏から2001年にかけてカリフォルニア電力危機が発生してしまいました。市場で発電業者の支配力が高まってしまい、電力料金が高騰し、小売料金がなんと2倍にもなったのです。

意図的に釣り上げられたという見方もありますし、夏場に需要増加が著しかったことと、冬場に発電所定期点検が重なり低稼働が発生したことも要因であるとされます。

この電力危機で大手電力会社の1社が倒産し、州知事はリコールとなりました。

しかし、2010年には家庭用を除いた消費者に対して小売自由化は再開されています。再生可能エネルギー導入に力を注いでおり、2020年には小売電力のうち33%を再生可能エネルギーにすることなどを目標に掲げています。

電力自由化は日本の場合は国土が狭いですからまだ米国ほどの問題はないとは思いますが、前例がある以上、しっかりと分析して電力危機が起こらないように手段を講じておくべきでしょう。

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