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米国の電力自由化の基本となる知識 ISOとRTO

   

電力自由化が始まった日本ですが、現状は小売市場が自由化され、送配電システムとしては従来の大手電力会社が築いた電線などを使用しています。

現在は元からある電力会社の管理会社が運営しているのですが、ここも自由化することで完全平等な電力市場にするため、今後数年かけて発送電分離を行う予定でいます。

日本よりもずっと先に自由化が始まっている米国でも送配電の分離が行われています。
日本の場合は配電網と送電網がセットで分離される方向で議論が進められていますが、米国を含め、自由化が進んでいる諸外国では主に送電網だけが分離され、配電網は小売り事業側が用意しているケースが多いようです。

そんな米国の送配電分離で欠かせない知識としてISOとRTOがあります。

まず、ISOですが、これはIndependent System Operatorの略で、日本語では独立系統運用機関ということになります。

米国連邦エネルギー規制委員会が1996年に規定したOrder888にて義務ではないのですが設立が奨励されています。

管轄するエリアにある発電事業者の電力供給計画を事前に集計して需要と供給のバランスを管理し、配電量を維持する機関です。
送電網の運用や管理を担うわけですが、電力会社から独立した組織となっています。

続いてRTOですが、これはRegional Transmission Organizationの略で、ISOを広域化させて州を跨いで任務を遂行しています。
ISOと違うのは、さらに送電網拡張計画の策定も行っています。
しかし、RTOはすべての州で採用されているものではありません。

ISOは送電網の所有権を電力会社に残している場合が多いのですが、独立系統運用機関(ISO)と地域送電機関(RTO)が揃うことで管理と指令が行き渡り、送電網の運営がすべての電力会社にとって平等になるとされています。
ISOは義務ではないので、自由化されていないフロリダ州にはISOもRTOもありません。
しかし、同様にアイオワ州も自由化されていませんがISOが存在し、送電網を運営しています。

ごく一般的な日本の消費者には関係ないかもしれませんが、電力自由化とひとくちで言っても、様々なシステムの変更などが必要で、しかも必ずしもそれが成功するとも限りません。

そのため、すでに電力自由化に踏み切った国の様子を見てみるのは大切で、米国の市場を見る場合にはISOとRTOだけは知っておくべきなのです。

 

欧州はさらにITOというのもある

 
ISOとRTOは主に米国や一部の欧州などで自由化に踏み切った国にて採用されています。
簡単に言えば、送電網の運用や管理をどこの電力会社にも属さない会社が行うというものです。

特に米国では管轄地域内の電力会社の供給計画を集計しておくことで需要と供給を確認し、リアルタイムの電力量を維持します。
さらに、その任務を州を越えて行うのがRTOです。米国で ISOやRTOを採用しているのはカリフォルニア州、テキサス州、マサチューセッツ州、ニューヨーク州などがあります。

欧州では一部にITOを採用している国もあります。これはIndependent Transmission Operatorの略で、独立送電運用機関と呼ばれます。

ISOは送電系統の所有権は電力会社に残していますが、ITOでは所有権も持ちつつ、ISOと同じように運用と管理を行います。

電力会社がISOとして機能するようなものなので、政府が独立性を確保するために厳しい規制や監視を行っています。

これは欧州委員会が2009年に規定した第三次EU電力自由化指令の中で規定されているもので、EU加盟国ではISO方式とITO方式、所有権分離方式の3つの方式から発送電分離を選んで行うことができるのです。

日本ではこれまで大手電力会社が地域ごとに独占して電力供給を行ってきたわけですが、自由化で新電力会社が増えることで、送配電システムを大手電力会社のままにしていると平等ではなく不利になる新電力会社も出てきます。

ですので、発送電の分離は必須なのですが、どのように行うかは今後も議論が必要です。

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