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米国で導入されているデマンドレスポンスは日本でも効果があるのか?

   

米国の電力自由化市場においてデマンドレスポンスというものが登場しています。

これは需給が逼迫することが予想されるピーク時間帯に価格が高くなるダイナミック料金で需要の削減を促すもので、これにより電力供給の効率を高められるとされています。

例えば、夏場の昼間は多くの世帯で一斉にエアコンを使うので、電力需要が高まります。
そうなると稼働率が上がり、設備に負荷もかかりますし、環境への悪影響もあるわけです。

そこで、その時間帯だけわざと電気料金を上げることでエアコンの使用を控えさせ、供給の安定化と効率を高めるというわけです。

これをデマンドレスポンスと呼びます。米国ではこのデマンドレスポンスのための電気料金メニューがいくつかあります。

 

 

時間帯別料金(TOU : Time Of Use Rate)

 
時間帯ごとに従量料金が設定されている仕組みです。特にピーク時間帯の価格が高くなりますが、季節によってピークの料金設定が異なる契約もあります。時間帯ごと料金を見れば固定料金となっています。
 

緊急ピーク時課金(CPP : Critical Peak Price)

 
前日に、翌日に需要が逼迫することが予測された際に、翌日のピーク時間帯の料金が通常のピーク時間料金よりもさらに高くなる仕組みです。これは大きな需要抑制は期待できますが、時間帯や料金の設定の詳細や年間何回まで発動され、連続でも発動されるのかなど検討の余地は多いです。
 

リアルタイム料金(RTP : Real Time Price)

 
電気料金のうち発電費用を卸電力市場価格などと連動させる仕組みです。前日予測値が用いられるので翌日24時間の各時間帯の電力価格を事前確認はできますが、時間帯で細かく料金が異なる上に毎日変動するため、電気料金節約はかなり難しいのが難点です。
 

緊急ピーク時リベート(PTR : Peak Time Rebate)

 
ピーク時間帯の電気料金はTOUと同じで固定ですが、前日に翌日の需要逼迫が予想された場合において、そのピーク時間帯に使用量を削減すればそれに応じて払い戻しをする仕組みです。CPPと違うのは、その通告を無視すると払い戻しはないものの、電気料金がその適用時間帯だけCPPのように上がることがない点がメリットです。
 

 

デマンドレスポンスを導入する場合の課題

デマンドレスポンスを導入するには、時間帯別の消費量を計量するメーターが必要だとされます。
近年、日本でも導入が進んでいるスマートメーターがこれに利用できると見られています。

しかし、デマンドレスポンス導入は非常に慎重に行うべきものだという指摘もあります。

というのは、米国ではデマンドレスポンスによりピーク時の供給がどの程度軽減できるか、米国連邦エネルギー規制委員会(FERC)が調べたところ、一般家庭向けのTOUやダイナミック料金に基づいたデマンドレスポンスではピーク削減効果はそれほど出ていないということがわかりました。

ですので、日本で家庭用にデマンドレスポンスを導入するのであれば、米国での成果などをしっかり分析する必要があります。
その際には日本と米国の国民性や国土の面積、電力事情の違いなど細かい部分に配慮して考察しなければなりません。

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