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日本の電力自由化でいい意味でも悪い意味でもモデルとなるPJMインターコネクション

   

日本が電力自由化でモデルとしたいのはすでに自由化が進んでいる米国です。
その中でもPJMインターコネクションは今回の電力自由化でもよく取り上げられていますね。

PJMインターコネクションはPJMとだけ呼ばれることもある、RTO(地域送電機関)です。

取り扱う電力量は東京電力と同じくらいなので、その規模の大きさがわかりやすくなるかと思います。

制御地域はペンシルバニア州、ニュージャージー州、メリーランド州、デラウェア州、ヴァージニア州、ワシントンDCとかなり広域です。

RTOなので発電を行っているわけではなく、発電業者から電力を受け入れて送電しているわけですが、内訳は原子力や石炭の比率が高いのが特徴です。
ただ、新設の発電所はほとんどがガスでの発電になってきています。

PJMインターコネクションは元は1927年にペンシルバニアとニュージャージーにある3つの電力会社が共同で「The Pennsylvania-New Jersey Interconnectionを設立し、1956年にメリーランド州の電力会社が加入して「PJM Interconnection」と改称したものです。

米国の電力自由化成立後の1994年にデラウェア、バージニア、ワシントンDCの電力会社が加入し、翌年、連邦エネルギー規制委員会に再編案を提出しています。
このときはISO(独立系統運用機関)化を申請しています。

そして、97年に電力小売自由化の試験運用を開始し、98年、ISOとして運用が始まりました。

1999年になってペンシルバニア、ニュージャージーで小売完全自由化が開始され、2001年7月に連邦エネルギー規制委員会がPJMインターコネクションのRTO申請を条件付きで受理しました。

すでに15年の運用実績もあるので、日本の電力事業者はPJMインターコネクションに注目して、様々なケースでモデルになると見ているのです。

 

PJMインターコネクションが注目されるその理由

PJMインターコネクションが日本の電力事業者に注目されるのは、まだ大きな失敗がないことと、自由化で始まる新たな市場の効果を見ることができるからです。

PJMインターコネクションが運用する市場はいくつかあり、まずは設備容量市場(ICAP市場)があります。
これは電力小売事業者が将来の発電容量を確保するために発電設備容量を売買する市場です。
それから、アンシラリーサービス市場のひとつである周波数調整市場があります。

自動発電機制御による周波数調整サービスの調達が行われる市場ですが、アンシラリーサービスは日本でも今後起こりうるもので注目を集めています。

金融的送電権市場というのもあり、前日市場において発生する混雑料金を受け取る権利のオークション市場です。
ほかには卸電力市場やリアルタイム市場があります。

PJMインターコネクションではカリフォルニア州のような電力危機が発生していません。
それは容量確保を義務づけたり、相対取引を容認するなどの制度設計にあるとされています。

それからパイプライン網も整備されており、州内で発電所建設が容易で急な需要増への予備率もしっかり確保されていることや、送電線建設の立地で厳しい制約はないので送電容量にも問題がないということがあるなど、日本の自由化に対してモデルにするにはうってつけなのです。

ただ、PJMインターコネクションにも問題点はあります。今までのところでは卸価格や小売価格が下落していないことや、容量確保義務が新規参入へのハードルになっていることもありますし、容量市場は十分機能していないとも言われています。

そういったこともあり、いい意味でも悪い意味でもPJMインターコネクションは日本の電力自由化での勉強の対象になるのです。

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