エネリスト

電気に関するあらゆる情報をお届け

ISOがありながら、結局電力危機になったカリフォルニア

   

電力自由化に失敗して電力危機に陥ってしまったカリフォルニア州ですが、気候的な要因などもあってよりひどい事態になりました。

しかし、気候などのせいにしてはいけません。
制度設計がしっかりしていればそこまで深刻な事態にならなかったのではないかとも見られています。

米国の電力自由化は日本と違い、早い段階で発送電の分離が行われています。
ただ、米国の場合は州単位で自由化するかしないかを決定しており、実際に自由化したのはほんの一部の州でしかありません。

自由化に当たっては発送電分離のために様々な電力関係事業者との調整をするために、米国連邦エネルギー規制委員会が独立系統運用機関として送配電などを管理するISO設立を奨励していました。
そして、カリフォルニア州は1998年に電力市場自由化が実施されたのとほぼ同時にISOを設立しています。

自由化当初はカリフォルニア3大私営電力会社――Pacific Gas&Electric社、Southern California Edison社、San Diego Gas&Electric社に対し、最長で当初4年間は公設の卸電力取引所(PX)からの電力調達を義務付けました。

そして、送電ネットワークを公平に利用できるようにこの電力会社3社の送電設備の系統運用機能をISOへ移管しています。

送電設備は引き続き3大私営電力会社が保有し、カリフォルニアのISOは管轄内の発電会社から発電計画を入手して集計。

需給バランスなどを管理して発送電の品質維持に努めてきました。

ところが、2000年の夏にカリフォルニアのISOからの「電力緊急宣言(ステージ1~3)」の発動回数が激増してしまいます。
卸電力価格も高騰しました。
ただ、日本もバブル期を挟んでカリフォルニア以上の需要増を経験していますが、電力危機には至ってはいません。
ISOは一体機能していたのかと心配になるレベルです。

 

カリフォルニアの電力危機がアメリカの電力自由化をストップさせた?

1992年に電力自由化が成立した米国です。日本の2016年のそれと比べておよそ25年もの経験があります。
しかし、米国は非常に広大ですので、日本のように国単位で自由化実施をすることはできず、州ごとにその実施の決定を任せています。
全米で50州とワシントンDCがあり、そのうち15州とワシントン以外では電力自由化が進んでいません。

そもそもカリフォルニアの電力危機の発生以後、自由化が進んでいない州で自由化法を成立させた州はないほどです。
温暖な気候であり西海岸でも特に人気のあるカリフォルニアでさえ自由化に失敗したのだと、それ以降は米国で電力自由化は進んでいないのです。
もちろん、テキサス州など成功した例もありますが、逆に成功の方がレアケースであるとさえ言われるほどです。

2016年4月に日本もついに電力自由化が実施されました。
今のところ発送電の分離は行っていませんので、米国ほど管理が難しい状態ではありません。
しかし、2020年までには発送電の分離を行うとしているので、今のうちに成功のテキサスや失敗のカリフォルニアなどから学べるものは学んでおくべきでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 4
    follow us in feedly

  関連記事

米国の電力自由化の基本となる知識 ISOとRTO

電力自由化が始まった日本ですが、現状は小売市場が自由化され、送配電システムとして …

外国と比べて日本の電気料金は高い?安い? 海外の電気代相場を見てみよう

日本の電気料金は外国よりも高いと思っている人が多いでしょう。もっと電気料金が安く …

日本の電力自由化でいい意味でも悪い意味でもモデルとなるPJMインターコネクション

日本が電力自由化でモデルとしたいのはすでに自由化が進んでいる米国です。 その中で …

米国で導入されているデマンドレスポンスは日本でも効果があるのか?

米国の電力自由化市場においてデマンドレスポンスというものが登場しています。 これ …

電力自由化の成功例として挙げられるテキサス州

米国の電力自由化は日本のように国単位ではなく、州単位で実施されており、全米50州 …

電力自由化をしているニューヨーク州

ニューヨークと言えば摩天楼や芸術の街、最近では9・11などを連想する人が多いかと …

日本にはない、米国の電力市場の形態のひとつ「アンシラリーサービス市場」とは?

電力自由化においては日本はまだまだ未知数の世界です。 ですので、他国の自由化され …

日本より先に始まった米国の電力自由化とは?

2016年4月に始まった日本の電力市場の自由化ですが、日本以外ではすでに自由化さ …

“電力自由化はただ安くなるからと安易に実施してはいけない重要な例 “

電力自由化は既存の電力会社と新規参入者の競争により電気料金が適正もしくは安くなる …

自由化の課題解消に検討するべき容量市場を米国から学ぶ

電力自由化でたくさんの新電力会社が日本にも誕生したわけですが、今後、需要が大きく …