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再生可能エネルギーの最先端技術!「圧縮空気エネルギー貯蔵(Compressed Air Energy Storage)」って何?

   

自然にやさしい再生可能エネルギーの開発が日本でも積極的に取り入れられています。再生可能エネルギーというと、風力や太陽光発電などが思い浮かびますよね。

こうした自然の力を使った発電は、安全に電力を供給できるのが最大のメリットです。しかし一つ問題があります。それは、発電量が一定ではないことです。自然にやさしいメリットを生かしながら、安定した電力を供給することはできるのでしょうか。

そこで今注目されているのが、再生可能エネルギーで余分に発電した電力を貯蔵し、必要な時にまた使う技術です。では、どのようにして電力を貯蔵し、必要分を使うことが可能になるのでしょうか。簡単に言うと、空気を圧縮して貯蔵するのです。

その名も「圧縮空気エネルギー貯蔵(Compressed Air Energy Storage)」と言います。ではそもそも、この技術の始まりはいつどこで始まったのでしょうか。また、「圧縮空気エネルギー貯蔵」の今も探ってみましょう。

「圧縮空気エネルギー貯蔵」の始まりと現在

このシステムを使った施設は1978年にドイツで最初に建設されました。また、90年代にアメリカでも使用されるようになりました。そして、最近スイスのアルプスでさらに最新の技術を使った実験が行われています。ではこの最新の「圧縮空気エネルギー貯蔵」の仕組みはどんなプロジェクトなのでしょうか。

プロジェクト名「アラカエス」。

「アラカエス」は連邦エネルギー省が支援し、約4億2000万円を投じて行われる一大プロジェクトです。舞台となるのは、スイスの南、イタリアの国境に近いティチーノ州ビアスカという場所です。

最近開通したばかりのゴッタルドという基底トンネル建設のために使われていた工事用トンネルが使用されます。ここに、全長3160メートルのトンネルの真ん中に二つの機械を設置します。空気を圧縮機するための機械と圧縮した空気を貯蔵する専用のタンクです。タンクの長さは100メートルで、入り口は厚さ5メートルものコンクリートで仕切られています。

空気を圧縮貯蔵する

出典:swissinfo.ch

一つ目の機械で、空気を圧迫します。実は空気を圧縮すると、空気の温度は500~600度にもなります。空気が熱いままだと大変危険なので、温度を下げてタンクの中に貯蔵するのです。どうやって温度を下げるのでしょうか。

タンクの入り口付近に石を敷き詰めて、石に熱が伝わるようにします。石が熱くなる代わりに空気の温度を下げることができます。このように貯蔵された圧縮空気は深海並みの空気圧になります。水深300メートルでの水圧と同じ圧力になるというから驚きです。この空気圧に耐えるために、タンクの入り口は厚さが5メートルのコンクリートと鋼鉄製のドアで仕切られているのです。またタンク内の監視カメラなどもそうした空気圧に対応できるようになっています。

必要電力量に応じてエネルギーを取り出す

空気を圧縮貯蔵しておいたなら、今度は必要に応じてエネルギーを取り出す必要がありますよね。圧縮させてタンク内に貯蔵していた空気を取り出し、圧縮空気をタービンにかけて電力に変換するのです。このようにして電力を必要な分だけ再生することができるのです。

最新の「圧縮空気エネルギー貯蔵」

「圧縮空気エネルギー貯蔵」の技術は以前から試みられてきましたが、今回のプロジェクト「アラカエス」では新しい技術が加わっています。それは、圧縮する時に生じる高温を使って発電した電力も保存できるようになったのです。これによりエネルギーをより効率的に使うことができます。このプロジェクトでは主に、貯蔵した空気の圧力が山や周囲の環境に影響しないかを確認する必要があります。

例えば、揺れやひび割れを起こすことがないか、その他の弊害がないかなどです。こうした安全が確認されれば、今後アルプスの多くの坑道内や洞窟内にエネルギーを貯蔵することが可能になります。

「圧縮空気エネルギー貯蔵」の将来性

山岳地が多いスイスにおいて「圧縮空気エネルギー貯蔵」の技術を利用できることが見込まれます。なぜ山岳地が有利かというと、数百メートルまで掘って地下に貯蔵庫を作るより、コストが格段に安くなるからです。再生エネルギーをいち早く取り入れる欧州で、スイスの山岳地帯がエネルギー貯蔵庫になる可能性が大いにあります。そして私たちの住む日本でもこの技術が生活をより安全に、また安定したものとしてくれるものでしょう。

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